『真夏の夜の夢』はラブコメ


左から秋本(ライサンダー)・武村(ハーミア)・納(ヘレナ)・田島(ディミトリアス)




ヨハクノート夏の本公演『真夏の夜の夢』対談企画、第1回は“『真夏の夜の夢』はラブコメ”と題してお届けします!


武村 舞台はアテネ。


秋本 男女4人がいて、


 国王と女王もいる。


田島 ところが妖精と妖精の女王もいて、


武村 いたずら好きの妖精が、


秋本 あ、言い忘れてたけどこれ5月の物語で、


 で、その女王と国王の結婚式をね、その時期にやると。


田島 ところが、どうやら結婚したくない若者たちが4人いたと。


武村 そのうちのハーミアとディミトリアスが結婚しろって言われてるんだけど、でも...


秋本 細かいな!


武村 細かい?これは細かい?え、じゃあ、えっと...その...父から言われてる結婚の話を断って、若者のうちの2人が駆け落ちしようってなって森に行きました。


秋本 そしたら、もう1組の男女がその森へ行った2人を追って森で追いかけあいをします。


 ここで先ほどの妖精パックが4人にいたずらを仕掛けどんなる。好きな人が嫌いになり、嫌いな人を好きになり、


田島 愛で愛をおおう、「エロスと狂気の物語」です。



『真夏の夜の夢』に、どんな印象を持っていましたか?


武村 ほかのシェイクスピア作品と比べて、1番ファンタジーだなって印象は強いです。妖精出てくるし、魔法使うし。


 あとは、とっつきやすい。シンプルに言えば恋の物語とすれ違いだから、シェイクスピア、古典作品の堅いイメージに対しては楽しい、普通に楽しい作品だなぁ


秋本 僕はあまりシェイクスピア作品を読んだことがなかったから、『真夏の世の夢』も台本読んだことなくて作品を観たことしかなかったんですけど、古典だからっていうので構えて入った部分はありましたね 。


実際に稽古をしてみて、印象の変化はありましたか?


田島 自分の役(ディミトリアス)で言えば、台本読んだときは、いかちぃなって思ってたけど、意外に自分で読んでみるとこいつやさしいなっていう。僕のやさしさが滲み出てちゃってるのかわからないですけど、やさしいなって思いましたね。


秋本 臼杵くんが現代の感じに変えてきてくれる部分もあるから、想定してたよりは、やりやすくはありましたけど、シェイクスピアの作品って韻を踏んだりとかセリフの妙みたいなところがあるから、そこはきちんと踏襲しなきゃいけないので、やっぱり難しいなぁと思いましたね。


武村 本を読んだだけではよく意味がわからないというか、あんまり面白いなって思わなかったところでも、役者が実際に原文を読んで動いてるだけで、シェイクスピアはやっぱ面白いんだって気づけたところは結構ありました。


秋本 あ、意外にシェイクスピアってちゃんとお笑いの手順を踏んできてる。ちゃんとふって落としてみたいなものをちゃんとやってるっていうのは思いましたね。


武村 そうそう、意外とちゃんと作りこまれてる。現代のユーモアのセンスにも通じますよね。


秋本 “知らない展開を見せる”っていう面白さじゃみせられないもんね。古典はすでにネタバレしきってるわけだから。


 この笑いでどう見せる、みたいなある意味挑戦というか。


武村 シェイクスピアとなると何百も何千もやられてるから、奇抜な演出のネタも出きっちゃってますよね。


ちなみに、ほかの団体が『真夏の世の夢』を上演しているのを観たことはありますか?


秋本 王子小劇場で某劇団がやってたのを見たことがあります。そこは結構ぐちゃぐちゃにしてやってたからあんまり内容とかあれだったんですけど、真っ当ににやるところって少ないですよね。もはやシェイクスピアだしさらにコメディの作品だから。


田島 だからちょっとびっくりした。ヨハクは全然変えないんだって。結構勝負してるなって思いました。 


武村 あんまり崩してないですよね。



秋本 でもそれは役者によっていろいろ変えてると思う。僕とかすげぇ苦手だから大分崩してくれてるけど。それにはこだわりがあるんだろうね、臼杵くんなりの。正直そんなにきっちりかっちり演出をつけられてるってわけじゃないから。


武村 今までのヨハクノートとはかなり違う。静かに、余分なものを削いでいく作り方を今までしてたんだけど、今はもうネタとか全然入れてるし、賑やかな作り方をしてるなと思います。


秋本 『真夏の世の夢』自体が笑いがないと成立しないので、どうしても賑やかな感じにならざるを得ない中で臼杵くんがどう演出つけてくかっていうところなんじゃないかな。


納 まあでも、完本して、ここからって感じがあるから。


秋本 これからね。役者次第だと思います。 




秋本 もうね、1人もいない。全員意味わかんない


 強いて言うなら私はライサンダーかな。


武村 あ、わかる、私も。


田島 俺はヘレナですね。ライサンダーなんだ。なんでライサンダーなんですか。


納 結局1番現実を見てるというか、そういうしがらみとかって絶対現代にもあるし、はっきり言うのよくないよみたいな。


田島 でも、1番勇気ある行動してるのはライサンダーじゃないですか。逃げようとか。


秋本 逃げようなんてないもんね。現代に置き換えたら実らない恋なんてありえないじゃないですか。身分とかほぼないしこことここが結婚できないみたいなのってないから。


武村 親がごねたらどうします?諦めますか?相手の親が、演劇なんてやってる男と結婚なんて絶対させないって言ってきた場合にどうするか。


秋本 僕に関してはそんなに結婚願望がなくて事実婚でいいと思っちゃうから、極端な考え方をすることが身近な考えじゃないな 1人のために自分を全部変える行動があんまり。相手にだって迷惑かかっちゃうし。


田島 まあ、ハーミアには相当かかってるよね。


秋本 素敵だなとは思うけど、あのまま普通に駆け落ちしてたらたぶん1・2年で終わってたと思う な。


 それはあると思う(笑)


秋本 ヘレナはすごいストーカーだし、ディミトリアスは人を好きならないと思う。自分が1番好きだと思う。


田島 ディミちゃんはそうですね。


秋本 権力への愛だもんね。それはそれでに人間っぽいけど。


田島 共感っていう意味で言ったら、4人の物語を通じてヘレナの恋心が主軸になってるなと思った。めっちゃしゃべるし、この4人の構造を使ってヘレナを深堀りしてるなって感じがあって、やればやるほどヘレナことをキャラクターとして好きになっていくというか。


武村 みんなそれぞれ愛おしさがありますよね。


秋本 悪役いないからね。


田島 誰も悪くない。


秋本 人殺さないしね。


お二人はライサンダーのどのあたりに共感しましたか?


武村 引き止めたいんだけどストレートに言葉を言えないところとか、媚薬を垂らされてあれだけ態度が変わるのが面白くて、薬の効果なんだろうけど、実は結構溜まってたんだろうなみたいな(笑)


 そういうことなんだ。本当のことを言っちゃうみたいな。


武村 ハーミアに対して普段言いたいことがちょっとずつ溜まっていて、薬の効果もあり、すでに上乗せされてる気がするんですよ。 


 秋本ライサンダーが好き?


武村 あ~、そうなのかも。


秋本 原作のライサンダーと臼杵くんのライサンダーは違うもんね。


田島 たしかに。全然違う。


武村 原作だと結構ストレートに言いますもんね色々。


秋本 かっこいいもんね。かっこいいのできないから、なんで僕をライサンダーにしたんだろうね。


 そういうのを臼杵くんが求めてたって言ってた。強く言えないって、弱いって。私は、ライサンダーが、言ってることは1番わかる~って感じかな。  逆に自分の役(ヘレナ)はね、意味わかんねぇ。



田島 僕も全然意味わからないです。こんな男クソ野郎だとおもった(笑)


武村 でもヘレナは、あの時代に女性がはっきりものを言ってるのはかっこいいと思います。私だったらそんなこと言えないもん。


秋本 現代でもあそこまではっきりは言いづらいですよね。僕は、ライサンダーは自分と近いところで、まあ、台本もそういうところで書いてくれてるし、とる行動は極端だけどそれに至るプロセスが共感できる。ある意味僕に似ているところもあるのかなと思います。


秋本 最初の神山くんの独り語り。あそこが1番面白い。


 毎回少しづつ違うから、わくわくしますよね。


秋本 素直な見せ場と言ったらここの4人が入れ替わって罵り合うところなんだろうけど。


武村 この罵り合いをどう面白くみせるかですよね


秋本 自分の1番の見せ場はどこ?田島くんは。


田島 僕の1番の見せ場はやっぱり声と顔面ですかね。そこだけです。


秋本 すぐそこに逃げるなぁ(笑)


田島 バレた。


秋本 納葉先生は?


 見せ場......私は独り語りが多いんですよ。


田島 多い。本当に多い。 


 役の演じ方について、稽古を通して1周まわってて。本当に「ポップだ、これはポップにやるんだ。私の苦手なポップだ」と思ってやってたら、1回ズンってなって今日でまたもう1回「ポップポップ。やっぱポップだ」ってなった。


田島 最初の稽古が1番ポップにやってましたもんね。


 本の段階のあれをやるんだ今回と思ってやってたんだけど。いっつもあるんですよね1周まわるんですよ私。


田島 でも強いですよね。最初からポップと1週まわった後のポップで全然違うと思うので


 そう、だから2週間前になってよかったと思うんですけど、だからポップの中での独語りがキツいですよね。ちゃんとできるかなって。見せ場っていうか。


田島 ライサンダーは? 


秋本 僕の見せ場はね... 


納 ノミ


田島 ノミ! 


武村 ノミ!


納 このノミ!


秋本 ひと言で言うの好きだから、「壁!もう壁!」とか。


田島 僕大好き。お約束過ぎて好き。


秋本 古典のシェイクスピアだからさ、ジャパニーズの古典をぶつけていく、王道には「だよね」っていう笑いがあって。そこしか勝てないんじゃないかって言う。


田島 その視点なかったな。


武村 ハーミアはライサンダーに結婚って言われたり罵られたりしたときのちょっとしたときの反応でカワイイってところをみせたい。



この公演を、観るかどうか迷っている方にメッセージをお願いします!  


武村 シェイクスピアとか何も知らなくても、前情報が無くても絶対楽しめる舞台だと思います。


秋本 古典とか観に行くと、ストーリー知ってないと、登場人物わかって関係性わかってないと何のこっちゃわからん作品も多々あるけど、結構そのままストレートにやってるから、観りゃわかる。ってのがいいと思います。


 本当に丁寧にやってる感じはある。


秋本 超わかりやすい。ていうか、普通に『真夏の世の夢』の構成がやっぱり面白れぇなっていう。シェイクスピアやっぱ面白いってうのを感じてほしいなと。


武村 ラブコメですしね。真っ当な。


秋本 古典イコール難しいみたいなイメージを持ってこられると逆にちょっと困っちゃうから。肩の力抜いて来てほしいです。


 シェイクスピア観に来たぞって思ってきてもらうとちょっと困るね(笑)


武村 キャラクターがみんな立ってるからそれぞれ面白いし。相関図とかいらないですよね、ぶっちゃけ。


田島 全然。観てればわかる。


武村 隠してる人とかいないから(笑)


秋本 そう。「実は好き」みたいのがない。目的を全部言ってくれるからね。これは一目惚れする薬なんだとか全部言ってくれる。解く薬もあるんだとか。だからあんまり観たことない人でも楽しめると思いますよ。


田島 シェイクスピアも原文で全部言ってますもんね。


秋本 やさしいよね。


田島 うん、やさしい。やっさしいシェイクスピアですよ。ぜひぜひ、包まれてください。    


ありがとうございました!

次回は「思ってることダダ漏れ芝居」と題した、神山さん、黒川さん、内山さんの対談を掲載予定です!



秋本雄基 Yuki Akimoto

俳優/エフェクト所属/アナログスイッチ劇団員

千葉県出身


東洋大学在学中にアナログスイッチの旗揚げに参加。以降全ての本公演に参加。客演も精力的に行う。主な出演作品にアマヤドリ『銀髪』(17年)、ドラマTBS『牙狼<GARO>-魔戒烈伝-』(16年)、アジア舞台芸術祭人材育成部門(16.17年)など。


武村理子 Satoko Takemura

俳優/劇団木霊所属/学習院女子大学国際文化交流学部在学中

千葉県出身


主な出演作品に劇団木霊『HAMLET be』『アドルフ』 ヨハクノート 『曾根崎心中』 早稲田大学舞台美術研究会秋季研究会公演 『アンネ・フランクの七十七の憂鬱』など。


田島実紘 Mihiro Tajima

俳優/劇団スポーツ所属/法政大学文学部哲学科

東京都出身


2016年に劇団スポーツを旗揚げ、以後全ての作品で作・演出・役者をつとめる。佐藤佐吉大演劇祭2018in北区では、「えんぶ賞」を受賞。


納葉 Yo Osamu 

俳優/早稲田大学卒

神奈川県出身


早稲田大学在学中に同大演劇研究会に所属。以降舞台を中心に活動。主な出演作に江古田のガールズ『おかしな2人』('15年)、□字ック『荒川神キラーチューン』('16年)、トローチ『エキスポ』('17年)、iaku『目頭を押さえた』('18年)、キ上の空論『おかえりのないまち。色のない』('18年)など。



巻末コラム~『真夏』なのに4月の話なんです~

『真夏の夜の夢』というタイトルから想像するにミンミンと蝉が鳴き、ギラギラと日差しが降り注ぐ、そんな風景をイメージされるかもしれません。真夏、ですからね。

ところがどっこい、そうでもないんです。 結論から言うと、本作は「4月末~5月頭」の話です。原題を「A Midsummer Night's Dream」とする本作の「Midsummer」というのは本来、「夏至」を指す言葉なのです。『夏至の夜の夢』。ちょっとダサいです。しかも夏至は本来6月のはず。時期的にもまだ少し遅いですね。劇中で少しだけ言及されていますが、本作は「五月祭(May day)」と呼ばれるお祭りの少し前の話です。五月祭とは夏の豊穣を予め祝う、いわゆる「予祝」の一つで、イギリスではその日、妖精たちが姿を現し、歌い踊るという言い伝えもあります。

そんな五月祭を直前に控えたある日の出来事が『真夏の夜の夢』です。 では、なぜ日本の翻訳家たちは「Midsummer」を「真夏(あるいは夏)」と訳したのか、いや、そもそもなぜシェイクスピアは五月祭の時期の話に「Midsummer」などという時期外れのタイトルを付けたのか。 登場人物たちの祝祭と熱狂に、その答えが隠されています。 (臼杵)

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